不動産会社と媒介契約を結んで売却を開始してまでは良いものの、買付どころか一向に内見者も訪れない。
訪れるのは売れないのではないだろうかという不安と焦りだけ。
そんな時期もあります。
マンションという高額な品物が右から左へ、そうそう売れるはずもないので焦りは禁物です。
しかし、売れない期間が長くなれば売却価格を下げるという選択も有効という場合もあります。
ではどのように価格を下げると良いでしょうか。
■パーセント値引き
「○%なら値引きする」(できる)という認識も広まっているようですが、これは間違いです。
スーパーのタイムセールではないのですから、10%でもすぐに百万円単位になる不動産ではあっさりと値引ける金額ではありません。
売主が不動産会社であれば別ですが、中古マンションのように一般人が売主の場合では、なかなか数百万円を値引くという決断はできないでしょう。
近年では査定金額も無闇に釣りあげるでもなくドライに淡々と算出される傾向があります。
なによりもこの10%値引きする(できる)という方法は、買い手側から値段交渉のあった場合に出てくる可能性のある値引きです。
買い手がなかなかつかずに売却価格を下げる場合には使いません。
従ってパーセントで価格を下げることはあまりお勧めできません。
とはいえ、査定の段階で値引き予定額を、例えば10%上乗せしているという場合には、最初からパーセントで計算しているのですから構いません。
マンションの売却の場面だけではなく、物やサービスの取引が行われる時、人間には様々な心理が働きます。
人間の心理を少し理解しているだけで交渉を有利に進めることができます。
人間の心理を応用した価格を引き下げるコツで簡単なものが端数の扱いです。
■端数の扱い
1億円未満の場合は、端数とは10万円の位を指すことが多いです。
1万円以下はゼロがほとんどです。
従って、前述のパーセントで価格変更する場合でも、1万円以下の位は切り捨て・切り上げてゼロとします。
これは一説には、手書きが主だった時代からの商慣習で、契約書等の記載を間違いえないようにするために簡略化したと言われています。
確かに、39,812,389円よりも39,800,000円(3980万円)の方が間違えることは少なそうですし、仮に間違っていた場合には関係者がすぐに気づくでしょう。
同じく商慣習として、10万の位を80万円にするというのもあります。
これは100万円の位が1つ減らすことで割安感を与える効果や、縁起が良いとされる末広がりの「八」を取り入れるためなど、諸説があります。
また、買い手から価格交渉が入った際にも、「すっきりさせたいから端数(80万円)を切って欲しい」という定番の『端数切り』の交渉に対して、「すっきりとキリの良い50万円で」という『切り揃え』という返しの一手を打てます。
こういう価格交渉の小技も使えるような端数調整も値下げをする際のコツの一つです。